共に創るというかけがえのない経験

2018年11月24日コラム

 演劇の良さは「だれかと共に創ること」「だれかに見せること」ができることにあります。それも「同時進行で」です。演劇はライブで見せなくてはならないため、必ず「創る」作業と「見せる」作業が同時に行われるのです。そのために大事なことは、共演者を信頼し、信頼されることです。

 言葉は、相手に伝わって初めて意味を持ちます。もちろん、事前の練習も大事な「創作」ですが、練習の時うまくいったものを、そのまま舞台の上に持っていけるかというと、残念ながらそうはいきません。人間の感情は録画できるものではないからです。ですから演劇では、稽古の時も本番の時も、常に創り続け、伝え続けなければなりません。これはとても難しいことです。だからこそ信頼が意味を持つのです。

 相手を信頼し、預ける行為。言うのは簡単でも、それを実践するのはなかなか難しいものです。それを、決められた時間の間、常にやり続ける…。そんな機会は、日常生活の中では、なかなかないことだと思います。演劇が実に特殊な表現活動であることを分かっていただけたでしょうか?

 でも、だからこそ、この経験はかけがえのないものになるのです。人を信頼し、信頼される。それはとても大きな喜びをもたらしてくれます。コミュニケーションというものが喜びをもたらしてくれることを知り、自分がそれに値することを知り、自分に自信を持ち、相手のために行動する意味を知る…。いくら言葉を積み重ねても、その素晴らしさを説明するのは難しいことです。

 どんなにおもしろい世界がそこにあるのか、どんな成長が待っているのか…ぜひ、体験してみてください。